仲良くしていただいている「あ、おちた」のちえりさんに捧げたブンニオです
ベッドに気だるげに自分の体を沈ませているとキィと部屋のドアが開かれたのがわかった、この家に居るのは一人暮らしの俺と、泊りに来ていたブンちゃんしかいない。
俺はベッドの上に居るのだから、部屋に入ってきたのは必然的にシャワーでも浴びて来たブンちゃんだろう。
気付かないふりをして寝たままを装う、装うのなんて日常茶飯事、詐欺師なのだから。
ベッドに腰を下ろすと体重の為にぎしりと沈む、ブンちゃんは俺の頭を抱えるように覆いかぶさってきた、寝たフリをしていたことなんてバレていたのだろう、勿論ブンちゃんを本当に騙せるとも思ってはいない。
絡みついている腕を掴んで心の中で名前を呼ぶ
(ブンちゃん)
「ん?」
(ブンちゃん)
「だから、どうした?」
掴んでいる手に力を込める、ごめんな、ブンちゃん。
ごろんと体を向き合わせ、ベッドに膝を立てて腹の上に乗ってくる
優しい視線を向けてくれるのに、何故か心臓がドクリと脈を打ち鼓動が速くなるのはきっと好きだから
それを知ってか知らずか頬に手を合わせてきてただ一言
「焦んなよぃ……待ってるから」
一人抱え込んで、ぎりぎりの淵を歩いていたこの気持ちがスッっと楽になっていく。
その一言はまるで魔法のようで
(キスして)
「気持ちイイのプレゼントしてやるよ」
視線を外すことなく距離がゼロになとピチャピチャと舌を這わせ、吸いつくように求めてもっとと言うように求めるとぼぅっとするような感覚になるが、目の前の男前はただの1秒とも他を見ることは無く俺を見続けていた。
「焦んな、俺は待てるから」
欲しい、全部欲しい尊いものそれがキミの中にあるから
仁王の声が急に出なくなったのは1カ月前程。
部活の途中に急に喉を押さえて柳の方にかけだした姿を見て嫌な予感がしたのだ、案の定その数日後幸村くんと柳から伝えられたのは「ストレスから来る失語症」だった。
ストレスの原因は仁王のプレイスタイルからくる悪口
「詐欺師の『言葉』など誰が信じる?」という声が少なかった訳ではない、仁王も別に気にしてないんよとあしらっていたが、その噂は棘となって仁王の心を傷つけていた。
だけれど恋人という関係になって、視線で何が言いたいかを分かるようになっているから不便と感じたことは無い。
仁王自身俺に本気で偽ってこようともしないのを知っている。
「大丈夫だから」
そう頭を撫でると仁王は安心したかのような笑みを浮かべる
(無自覚ってーのはこえぇーな、でもその笑顔は俺の為だけだろぃ)
また足りなくなってその薄いピンクの唇に噛みついた
無音の世界で、君の声だけ響く
(好いとうよ、ブンちゃん)
END
ベッドに気だるげに自分の体を沈ませているとキィと部屋のドアが開かれたのがわかった、この家に居るのは一人暮らしの俺と、泊りに来ていたブンちゃんしかいない。
俺はベッドの上に居るのだから、部屋に入ってきたのは必然的にシャワーでも浴びて来たブンちゃんだろう。
気付かないふりをして寝たままを装う、装うのなんて日常茶飯事、詐欺師なのだから。
ベッドに腰を下ろすと体重の為にぎしりと沈む、ブンちゃんは俺の頭を抱えるように覆いかぶさってきた、寝たフリをしていたことなんてバレていたのだろう、勿論ブンちゃんを本当に騙せるとも思ってはいない。
絡みついている腕を掴んで心の中で名前を呼ぶ
(ブンちゃん)
「ん?」
(ブンちゃん)
「だから、どうした?」
掴んでいる手に力を込める、ごめんな、ブンちゃん。
ごろんと体を向き合わせ、ベッドに膝を立てて腹の上に乗ってくる
優しい視線を向けてくれるのに、何故か心臓がドクリと脈を打ち鼓動が速くなるのはきっと好きだから
それを知ってか知らずか頬に手を合わせてきてただ一言
「焦んなよぃ……待ってるから」
一人抱え込んで、ぎりぎりの淵を歩いていたこの気持ちがスッっと楽になっていく。
その一言はまるで魔法のようで
(キスして)
「気持ちイイのプレゼントしてやるよ」
視線を外すことなく距離がゼロになとピチャピチャと舌を這わせ、吸いつくように求めてもっとと言うように求めるとぼぅっとするような感覚になるが、目の前の男前はただの1秒とも他を見ることは無く俺を見続けていた。
「焦んな、俺は待てるから」
欲しい、全部欲しい尊いものそれがキミの中にあるから
仁王の声が急に出なくなったのは1カ月前程。
部活の途中に急に喉を押さえて柳の方にかけだした姿を見て嫌な予感がしたのだ、案の定その数日後幸村くんと柳から伝えられたのは「ストレスから来る失語症」だった。
ストレスの原因は仁王のプレイスタイルからくる悪口
「詐欺師の『言葉』など誰が信じる?」という声が少なかった訳ではない、仁王も別に気にしてないんよとあしらっていたが、その噂は棘となって仁王の心を傷つけていた。
だけれど恋人という関係になって、視線で何が言いたいかを分かるようになっているから不便と感じたことは無い。
仁王自身俺に本気で偽ってこようともしないのを知っている。
「大丈夫だから」
そう頭を撫でると仁王は安心したかのような笑みを浮かべる
(無自覚ってーのはこえぇーな、でもその笑顔は俺の為だけだろぃ)
また足りなくなってその薄いピンクの唇に噛みついた
無音の世界で、君の声だけ響く
(好いとうよ、ブンちゃん)
END
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