仁王はいつもやる気が無さそうに机にへばりつく事があるが、それはだるさや、眠気、部活の疲れ等のせいで机に自分の体を預ける、第一俺もそうだし、眠いのなんか我慢できる訳が無いし、興味の無い教科の勉強などしたくもない。
くあぁとあくびを一つ先生から見えないようにし窓から天候を見ればもくもくと曇天の空が広がっているのが見えた
あぁ、これはやべぇ一雨きそうだと思いつつ、携帯を隠しつつパカリと開けると即新規メール作成をすると何事も無かったかのように机に携帯を滑り込ませる
教科書で顔を隠しつつ後ろの席を見れば、案の定机にへばりつく仁王が居た
(あぁ、やっぱな)
時計を見ればあと数分で今日の授業は終わる、終わると同時にさっきのメールの返信が幸村君からくるだろう
(これ雨降るだろぃ……部活は屋内所で筋トレってところか)
そう考えているとチャイムが鳴り教師がHRの準備をし始める、一刻も早く後ろにいるやついに話しかけたいのにこれが終わらなければどうにもならない、イライラする自分を抑えるようにポッケに手を突っ込むと以前入れていたガムが入っていたのでフィルムを開け口に放り込む、遠くから丸井ガム食うなという注意は聞こえないふりをする

出来るだけ、自分の中で優しい声を出す
「仁王、授業終わった」
「……ん」
予想はあっていた
「辛い?」
「……ん」
音を出さないようにマナーモードにしていた携帯が揺れ、幸村君からのメールだと受信BOXを開くとこの事を予期していたようで『仁王辛そうだったら筋トレ無し』と了承のメールを貰う
「さっきメールしたら、幸村君お前の部活無しだってよ」
「……ん」
返事をするのも億劫なようで顔を机からあげる事をしない
仁王は偏頭痛持ちだ、それも結構重い、雨の日や天気の悪い日は顕著にその症状が出る。
動かない仁王の机の前の椅子を引きどかりと座る
あぁ、痛みを俺に分けてくれたらいいのにと、パッと見からしてひょろいし、肌は運動部に所属しているにも関わらず白く、病的と言えばなにかしらの病気じゃと思えるほどだ。
スマフォのアプリで天気を見るとこれから徐々に晴れて行くようで、この曇天は通り雨のようだ
「通り雨っぽいから一応保健室行くか?」
「……いい……鞄から薬」
鎮痛剤の場所はもういつもの事なので、場所を聞かずに探り当て机にうつ伏せになっている仁王に手渡すと鞄の中に合った水の入ったペットボトルも渡す
「ほんま、無理、割れる」
体を動かすのも辛い痛みを感じている仁王に俺は何も出来ないから
そっと頭を撫でる

「なん……?」
「手当って言うだろ」
そっと、いたわる様に、俺に痛みが来ないかなって事を考えながら
「ブンちゃん……もっと」
仁王が俺を求めてくれる事に嬉しくなって、さっきよりも少し強めに自分の指を銀糸にすべりこませる
「優しゅうして」
「いつも優しいだろうが俺様は」
「せやった」
「痛み止まったか?」
「まだ、無理痛い、でも撫でて」


窓の外はまだ曇り、晴れるまで時間がかかりそうだ、その間少しでも仁王が安らぐならばと顔を上げた仁王の額にキスを一つ




「ブンちゃん……額じゃなく口が空いてるぜよ……?」




少しでも痛みが引きますようにと祈りを込めて、その薄い唇に自分の唇を重ねた





(触ってください、それだけで痛みが和らぐ気がするから)







END
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